大学四年生のせつない季節のある日に。
何の変哲もない毎日に
特筆すべきこともないのに、想いを綴る。
そんな毎日のどこかの日に、いつか戻りたくなってしまう自分を知っているからこそ、人は日記を残したくなるのかもしれない。
せつない毎日が続く。
卒業がほぼ確定して、時間が有り余る大学四年生。
世間は「いましか遊ぶ時間ないんだから」と、あまりにも自由すぎる海に放たれた私に言う。
就職先も決まった。卒業もほぼ決まっている。
足りないものなんてないはずなのに
何故だか毎日がせつない。
大学四年生は、中学二年生並みに、不安定な精神状態に陥ると思う。
数少ない友人も、進路が確定したらしい。
みんな、次の道に向けて、別の道に向けて歩もうとしている。
何を夢見て
何がしたくて
四年間を過ごしてきたのだろう。
「今しかできないことを」と言われるたびに、胸が苦しい。
10月の季節の変わり目の今日。
これからさらに寒くなれば、
また春が来てしまう。
春からは、きっといまより自由でない自分になるのだろう。
明るくてちょっぴり悲しいのが春。
そして、ずっと切ないのが今の季節。
人、一人を大切にすることすらできなかった。
想いがずっと伝えられなかったし、伝わらなかった。
なんとか悲しみを紛らわそうと、何もない毎日を無理矢理に忙しくしてきたのだけれど、それももう限界。
何もできない、何も持っていないからこそ、誰かただ一人だけでも、大切にしてみたかった。それもできなかった。
自分が今どこにいて、何者なのか、何を得てきたのか、不安になってしまった。
8月の暑い日、中高の恩師に手紙を出した。
そして、この10月のせつない季節の変わり目の今日この日に、返信が届いた。
"内定おめでとう
残りの学生生活を有意義にお過ごしください。"
とにかく、自分が何であるかを再確認したかった。
10月26日の今日は寒かったよ。
せつなかったよ。
忘れないでね。
ここに戻ってくることがあるかもしれないから、私はこの日を記録した。
またね。